■AWS re:Invent 2015行ってきました
Amazon Web Serviceの巨大イベント、AWS re:Invent 2015に参加してきました。ラスベガスです。昼も夜も渋谷より騒がしい街があったことは衝撃的でした。うちの会社(HDE)は昔から渋谷にあり、私自身もかつて渋谷に住んでみたこともあって、"昼も夜も渋谷ほど騒がしい街は世界中どこにもないだろう"という確信を持っていて(あまりに落ち着かないので、さすがに自宅は半年で渋谷区じゃないところに転出したのですが)、まぁしかし、その数倍騒がしかったですね、ラスベガスは。Crazyです。
というわけで、今日はラスベガスの若干の写真と、re:Inventの全体の雰囲気、今回Amazonから発表されたサービスの一つを紹介しつつ、最後にちょっとした宣伝(!)をさせていただく、という構成にしています。是非最後までお読みください。
さて、まずはラスベガスらしい写真をいくつか上げておきます。
↑とりあえず肉は食っておこう、みたいな感じ
↑カジノに手を出すのはやめました
↑世界最大の観覧車High Rollerから見下ろすホテル群
↑ホテルでかすぎて、入り口入ってから迷う、迷う。ツアーメンバーがFacebookグループに「会場までの近道」を写真入りでアップしたらそれにたくさんいいね!がつくぐらい。
■会場の様子
上の写真にある、一番繁華街のストリップ通りに面したベネチアンっていうところが会場でした。
AWS re:Inventでは毎年、Amazon Web Serviceの様々な新機能発表がされます。今年もたくさん発表がありました。簡単にデータ分析ができる、Amazon QuickSight, 大量のデータ移行につかえる、Amazon Snowball, そしてKinesis Firehose, AWS Config Rules, Amazon Inspector, AWS Database Migration Service, AWS Schema Conversion Tool, Kinesis analytics, 新しいEC2インスタンスファミリーX1や、コンテナをより使いやすくする新サービスAmazon EC2 Container Registry, Python for Lambda, AWS Mobile Hubおよび、とどめAWS IoT。小さいものを含めるともっとたくさんあります。
個々のサービスの内容は、数百人に登る日本からの参加者の皆さんがblog等で紹介されているので、このあたりから辿ってもらえればと思います。
全般的にはAmazonの「ビジネス面」の勢いを感じさせるものが多かったです。私の記憶では、数年前には、「システムのテストフェーズとかで使うと便利だからどんどん使ってくださいね」というトーンでした。今年は、「製造業や金融のミッションクリティカルかつ巨大なデータを扱う実環境としていけますよ!」と。データベース、データ分析のツール、IoT関連、いずれも出てくる事例は大企業、時代が変わっていっていることが見てとれます。
←BMWの事例
←工場でのIoT利用モデル
■個人的に一番印象的だったのはAmazon Snowballというサービス
個々の新サービスの紹介をしはじめるとキリがないので、個人的に象徴的だと思ったものを一つ上げたいと思います。それはAmazon Snowball。これはなんとアプライアンスです。
メジャーなクラウドベンダーがアプライアンス的なものを出すのは初めてじゃないでしょうか。
これ、何の目的に使われるかというと、オンプレミスのデータをAmazonのS3に引っ越すためのものです。Amazon Snowballをオンプレミスのサーバに繋いでデータを吸い出して、それをAmazonに送るとAWSのS3にセキュアにアップロードしてくれるというもの。1台で50TBのデータを扱えます。
我々も、エンドユーザ様から過去のメールを弊社サービス(HDE One)に入れてくれ、みたいな要望をいただいたり、そのアップロードの際に、転送速度をうまくコントロールしないと翌月の請求額が跳ね上がったり、そういう経験をしているので、こういうの必要だよね、と改めて感じました。データを引っ越す時に気になること、たとえば物理的破損だったり、セキュリティだったり、予想外の請求額だったり、そういったエンジニアや担当者が留意すべきところを全部考えなくていいよ、という隙間ソリューションです。例え、「フルスタックエンジニア」であっても、HDDが破損しない梱包の仕方とかっていうノウハウは持ってないですからね。 そして、そういう足回りのベタなところを(周りのサードパーティーがやるのではなくて)Amazon自身がやるんだということに少し驚きましたし、ここまで徹底してやるから伸びているのか、とある種の納得を感じました。
■実物見てみると
このSnowball、そばでみるとごっついです。アメリカンサイズ。床に落とすと床の方が壊れるんじゃないかと(Keynoteでは床に落としてみせてましたが)。最近の超小型HDDとか見ていると、ちょっとびっくりするぐらいゴツい。
ちなみに、何でsnowballっていう名前かっていうのを会場で聞いてみたところ、雪の球を投げつける=物理的なものを移動する=アプライアンスを搬送する、というようなことでした。加えて、帰国してからネットで調べると、「Cerro Torre(邦題:クライマー パタゴニアの彼方へ)」っていう2013年の映画の副題が a snowball's chance in hellっていって、ここから取ったのかも、というニュアンスの記事を見つけたので、これが(も)ビンゴかもしれません。
■いずれは消えるサービスだが、時代を象徴しているサービス
このサービス、世の中のデータがことごとくクラウドに移行されちゃったら消えるサービス(?)ではないかと思います。オンプレミスからクラウドへの移行期ならではの象徴的なサービスかと。
とはいえ、クラウドへのインポートだけではなく、export/importの両方をうたっています。説明ではImportの話が印象的だったので、てっきり、「Amazonにロックオンするone wayなサービスキター」と思ってたんですが、後からサイトを見ると「緊急時の復旧等の目的でexport使えるよ」って書いてありました。
値段もお手頃。
デバイス処理 $80.00〜$99.00(リージョンによって異なる) : 処理されるストレージデバイスあたり データ読み込み時間 $2.49〜$2.99(リージョンによって異なる) : データ読み込み時間あたり。(2015/10/23時点)
ただし、東京リージョンでは現時点(2015/10/23時点)ではまだやってません。アクセスすると、
Import/Export Snowball is not available in アジアパシフィック (東京). Please select another region.
って表示が出ちゃいます。
あと、「SnowballをAmazonに送る時にGPS付けてたらデータセンターの場所がバレちゃったりしないのかな?」というのは、re:Inventツアー参加メンバーの中で少し話題になっていましたが、さすがに会場では訊けずじまいでした。
■ペタバイトは今年のre:Inventのキーワードの一つ
さて、このSnowballの説明には、”to transfer petabytes of data into or out of AWS(ペタバイトのデータを出し入れできるよ)"って書いてあります。この「ペタバイト」っていうのは、今年のre:Inventの隠れたキーワードのような気がしました。 キーノートの前日に開催されたパートナーサミットでもAndyがもうデータのサイズがペタバイトを超えるのは普通だ、って発言してました。私が聞きに言ったセッションの中にも、”Security and Compliance at Petabyte Scale”っていうゲノム解析データの事例が出ていました。 Amazon Japan様によれば、日本ではまだペタバイトのデータをAWSに預けているところって数社のようですが、これから増えていくでしょうね。
←パートナーサミットの様子
■宣伝!ペタバイト祭りやるよ
さて、ここから宣伝です(笑)。
HDEでもついに、AWSに預けているデータがペタバイトを超えました。そこで、これを記念するとともにAWS技術者に感謝するために、「ペタバイト祭り」なるものを催すことにしました。
YAPC主催の牧大輔さん(@lestrrat)、AWS界隈で有名なMichael H. Oshitaさん(@ijin)を迎えて、「ペタバイト級データを支えるクラウドサービスの表と裏」〜ペタバイトまでの道のりと障害、そして、開発と運用のチームをどのように融合するかについて〜というテーマでパネルディスカッションやります。 モデレータは、なんと今話題のソラコムの玉川 憲さん!豪華な布陣ですが、無料です。場所はみなさんの大好きな渋谷です。面白そうだと思ったエンジニアの方は是非おいでください。
参加希望はFacebookイベントページ「ペタバイト祭り」
https://www.facebook.com/events/1496829413966727/
にて、「参加希望」ボタンをポチッと押してください。
どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。