OSCON 2015に参加してきました。実はOSCONは初参加です。
場所はオレゴン州ポートランド。アメリカ北西部の町です。着いた週末は熱波に襲われていたようで地元の人達は暑さにあえいでいたようですが、東京から来た自分は「湿気がないだけでずいぶん過ごしやすいな」程度の感想でした。滞在中は天気にも恵まれ、大変過ごしやすかったです。反面熱波が落ち着いてくると、夜はかなりひんやりした感じでした。
一般客のチェックインはセルフサービスだったようです。私はスピーカー枠だったので別部屋でした。OSCONで少し印象的だったのは、かなり明らかに参加者の中にヒエラルキーのようなものがあり、一般参加者、スピーカー、スポンサー、とかなり提供されるサービスに差があったということです。仕組み的には当然だとは思うのですが草の根活動的なカンファレンスばかり主催していたので印象に残りました。
最初の二日間はチュートリアル等がメインです。チュートリアルは一枠3時間のものと6時間のものとあり、かなりガッツリ行われている印象です。自分は諸事情によりほとんどこれらには参加していませんが、ミーティング等の間にMesosのチュートリアルに参加してみたりしました。
ハンズオンセッションだったのですが、講師の方々はプロのエンジニアですがプロのチュートリアル講師ではないので進行に若干不満が残りました。内容はなかなかおもしろいものでした。ちなみにほんの一昔前までは聴講者にチュートリアル用の環境を用意するのはなかなか大変な事でしたが、今は「Vagrantを入れておいて」程度の周知をした上で6GBくらいのイメージを渡せばそれで済むのですからバーチャリゼーションやコンテナ技術に感謝感謝といったところです。
聴講している以外の時間は主に来場者達と色々な話をするか、自分のスライドの準備に費やしていました。去年日本で会ったDave Cheney氏や今年のYAPC::Asia Tokyo 2015で来日予定のCasey West氏とKelsey Hightower氏にも会うことができました。
会期中はずっと昼食が提供されていました。かなり広めのホールにテーブルがずらりと並べられ、プレートをもらってセルフサーブで盛ったご飯をテーブルでいただく感じです。
自由に情報を貼り付ける事ができるボードがあり、ここで求人や求職活動が行われていました。こういうオープンな活動はもっと日本でもやれればいいのになーとは思うのですが、やはり文化の違いですね。
なおその横にはBoFの集まりを知らせるスケジュールもありました。こちらも空いている時間に自分で企画した集まりを告知して参加者を募ることができます。
こんな落書きスペースもあります。
二日目はOSCONタイミングを合わせてkubernetes 1.0 のリリースを記念したkuberconが開催されていたのでそちらも覗いてきました。やはりみんな気になるようでかなり盛況でした。
チュートリアルの最終日夜には「Ignite」という名称のLightning Talkです。このセッションではスライドは20枚のみで15秒ごとに強制的に切り替わり、確実に5分で話は終わります。運営側の無駄に時間を長引かせないための努力が見られる形式でした。
なお発表者の女性率の高さが印象的でした。これが「印象的」となってしまう事実はカンファレンス運営者としては反省しなくてはいけないですね。
三日目からキーノートと一般セッションが始まります。朝一番のブロックのキーノートではPaul Fenwick氏とAllison Randall氏のトークがなかなか印象に残りました。どちらも動画が提供されています
They're Here. What Now? - Allison Randal Keynote ...
The Future is Awesome - Paul Fenwick Keynote ...
セッションは12トラックもあるのですが、その合間合間には様々な企画が催されています。
Expo Hallではいわゆる展示会的な催しがあり、時間によっては軽食も振る舞われていました。
自分のトークはこれまで自分がYAPC::Asia Tokyo等で発表してきた物の英語版だったのですが、今回参加してみてこのチョイスは若干ミスだったと思っています。
OSCONは良くも悪くもすでに一大展覧会であり、オープンソースの意義や啓蒙についてのイベントです。現場エンジニアのレベルの話より業界を変えていく話だったり、業界全体の技術トレンド等について興味がある人が集まるということです。その中で技術そのもの、しかも言語間の根源的なトピックについて話すのは微妙だったな、というのが正直な感想です。次回参加する場合はそのあたりを踏まえ、もう少し上のレイヤーの話を用意して行こうと思います。
イベントの楽しみ方としてはやはりトークそのものよりトーク前後に関係者を捕まえて四方山話をするほうが遙かにためになりそうでした。トークの内容に関しては技術的に細かい話はそれほど多くないので、トレンドを読み解くという意味ではスケジュールを見れば見えてくるものがあるのでそれで事足ります。さらに突っ込んだ話はパーティーやレセプション、そして廊下での会話の中でしか得られないという気がします。
ちなみに今回のテーマは明らかに"Cloud Native Applications"とKubernetes, Mesos, Docker等を用いたマイクロサービスアーキテクチャだったと思います。正直に言うと業界トレンドとしてはそうなのだと思いますが、現場でコードを書いている身からするとわりと今更感があったので、それを五日間繰り返し繰り返し連呼されるのは最後にはおなかいっぱいという感じでした。
おまけ
ポートランドダウンタウンのKenny and Zuke's のルーベンサンドイッチが超絶うまかったです。
あと偶然会場までの経路にベトナム人街があったので、会場以外でご飯を食べるときはそこでフォーを食べていました。日本のフォーもおいしいのですが洗練されすぎててなかなか納得がいかないので、アメリカで手に入るフォーが大好きなのです…
というわけで色々楽しいポートランド滞在でした!